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アリス・クリードの失踪 [映画(イギリス)]

J・ブレイクソン監督『アリス・クリードの失踪』
(THE DISAPPEARANCE OF ALICE CREED/イギリス/2009年/101分/PG12指定)

ヴィック(エディ・マーサン)とダニー(マーティン・コムストン)は、富豪のひとり娘アリス(ジェマ・アータートン)を誘拐した。あらかじめ用意した部屋のベッドに彼女を拘束し、身代金200万ポンドを要求するふたりだったが…。イギリス発のワン・シチュエーション・サスペンスです。

ずっとパンダ目のアリス。

アリスを監禁拘束し証拠写真を撮るまでところまでは、とてもテンポがよくスリリングでしたし、ダニーとアリス、ヴィックの関係にも驚きましたが、それ以外はおおむね予想通りで、心理戦も月並みです。物語のほとんどが監禁部屋でのやりとりのワン・シチュエーション。身代金や引き渡しの交渉は別の場所で行われていて、その結果だけを口頭で伝えられるパターンが続くため、舞台を見ているような感覚に陥りました。もっとも難しいであろう身代金の受け渡しについては、描写も説明もなし。準備から監禁までは、具体的かつリアル(女性にとっては不快な描写)に見せていたのだから、あの部分もそうして納得させて欲しかったですね。とは言え、大半をあの閉鎖空間で、しかも登場人物3人だけで最後まで引っ張って行けたのは、なかなかのものだと思います。主演女優がなりふり構わず頑張っているので、気が向けば。

エディ・マーサンって妖精辞典に載ってそうな顔立ち。

"アリス・クリードの失踪" 公式サイト
"THE DISAPPEARANCE OF ALICE CREED" Official Website

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愛されるために、ここにいる [映画(フランス)]

ステファヌ・ブリゼ監督『愛されるために、ここにいる』
(Je ne suis pas là pour être aimé/フランス/2005年/93分)

50歳を向かえ、健康のため職場近くのタンゴ教室に通い始めた、司法執行官のジャン=クロード(パトリック・シェネ)は、そこで若い女性フランソワーズ(アンヌ・コンシニ)に声をかけられる。幼い頃ジャン=クロードの母に子守りされていたという彼女は、ダンスレッスンのパートナーに彼を選び、練習を重ねるが…。

「愛されるためにここにいるんじゃない」

という意味合いの原題を、『愛されるために、ここにいる』の日本語タイトルにするとは、お見事です。強制執行などを毅然とした態度でこなしているジャン=クロード。でも本当は、感情を押し殺し嫌われ仕事を続けることに、うんざりしています。歳を取り更に気難しくなった父。頼りない息子とのぎこちない関係。悩みはつきません。そんな重い荷物を背負ったジャン=クロードが、タンゴ教室で出会った若い女性フランソワーズ。惹かれ合いながらも、それをなかなか口にしないふたりの関係は、タンゴの踊りのように、もどかしく色っぽいです。言葉数の少ない淡々とした描写ですが、その積み重ねから複雑な感情がじわじわと伝わってきました。彼をひと押しする秘書のあの助言、父のクローゼットの中身…大人ための作品ですね。

たくさんトロフィー獲ったんですね、ジャン=クロード。

"愛されるために、ここにいる" Official Website
"愛されるために、ここにいる" uniFrance
"Je ne suis pas là pour être aimé"


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大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇 [映画(日本)]

本田隆一監督『大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇』
(日本/2010年/121分/G指定)

4年同棲の末、なし崩し的に結婚した大木信義(竹野内豊)と咲(水川あさみ)。すでに倦怠期のふたりは、引っ越し早々炊飯器のことでもめる。近所のショッピングセンターで占いコーナーの女(樹木希林)に行方不明の炊飯器のことをほのめかされた咲は、翌日信義とともに再度その占い師を訪ね、そこで一風変わった"地獄ツアー"を紹介される。よくわからないまま地獄への新婚旅行を決めてしまったふたりは…。竹野内豊、水川あさみ主演のコメディ作品です。

地獄甘エビ食べ放題ツアー。宿泊・いいじま屋。2名で4万4千円。

物語、展開、登場人物、世界観、作り。すべてゆるいです。日常はさておき、旅行先の地獄なんで想像上の世界なんだから、やりたい放題やればいいのに、CGフル稼働シーンがこってりしている分だけ、既存施設を利用した実写が淡白に映り、損ですね。信義と咲の息の合ったやりとりはいい感じですが、それをダラダラと続け失速した所が複数あり、またそれが妙に説明的だったりで残念。たまに流れるBGMがやたらと大きく気に触ったこともあってか、全体的にバランスを欠いた印象です。身体が青く変化したいいじま(荒川良々)の頭皮が肌色なのはご愛嬌だとしても、赤い人(でんでん)の首筋から肩にかけてが、地肌色のままでチラチラ見えてたのは、いったい…。ゆるさを楽しみたいのに、詰めの甘さがそれを邪魔する、もったいない作品です。心に余裕のある方に。柄本明演じた"濡れた男"が寓話的で物語にぴったりだったことと、"奈落"のロケに使われた中野組石材・前山採掘場の光景がやたらと記憶に残りました。

地獄界でもTOTOのシェア率高し。

"大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇" Official Website
"大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇" GAGA

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デイブレイカー [映画(その他地域)]

マイケル・スピエリッグ、ピーター・スピエリッグ監督『デイブレイカー』
(Daybreakers/オーストラリア/アメリカ/2008年/98分/R15+指定)

謎のウイルスの蔓延で、人口の95%がヴァンパイアになった2019年。人間は捕らえられ採血用に飼育されていた。しかし人間の減少により血液供給量は年々先細り、ヴァンパイアたちは血に飢え始める。代替血液開発の研究主任エドワード(イーサン・ホーク)は、逃亡中の人間をかくまったことがきっかけで、彼らレジスタンス組織のコーマック(ウィレム・デフォー)と会うことになる。オーストラリア出身兄弟監督のハリウッド進出作です。

ヴァンパイアがゴーッと燃え上がるわ、ピシャッと飛び散るわで…。

さすがライオンズゲート・レーベル、万人向けダーク・ファンタジーかと油断してたら、予想外にグロテスク。でもそういうショッキングなシーン頼みの作品ではなく、物語もしっかりしていて面白かったです。なんと言っても、人間とヴァンパイアの人口比が逆転という、定番崩しの発想が新鮮ですね。飼育施設の人間を単なる食べ物として扱う冷ややかな描写は、どことなくマトリックス。血液をめぐる小競り合いが起る中、利益最優先の経営者ブロムリー(サム・ニール)の取った行動は、いかにもという感じでした。彼が儲けのために隠ぺいしようとした、ヴァンパイアから人間に戻る方法は壮絶です。特にクライマックスで次々と人間に戻るシーンには、「うわぁ」と思わず声を上げてしまいました。オープニング・クレジットのデザイン処理もいい感じなので、多少のグロテスクが苦にならなければ、どうぞ。

人間回帰のドミノ倒し。

"デイブレイカー" 公式サイト
"デイブレイカー" シネマトゥデイ
"DAYBREAKERS" Official Website

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